今回は、40歳の時に舌がんを経験したことを機に体質改善を決意し「空腹時間」を楽しみながら、10年以上がんの再発を防いでいる、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚医師のポイントをご紹介します。
それは「何を食べるか」ではなく、「食べない時間を増やす」ことで、以前にもご紹介した私たちにもともと備わっている「オートファジー」の働きを活性化させるものです。
「オートファジー」とは、古くなった細胞を新しくするための体のメカニズムのことで、オートファジーのメカニズムを解明した大隅良典先生が2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
人体には遺伝子・DNAを修復する働きをもともと持っていますが、DNAが修復不可能な場合には「オートファジー」という働きを使って、その細胞を除去してがん細胞の発生を防ぐのです。
もしオートファジーも働かない場合には、全身の血液を駆けめぐってパトロールをしている免疫細胞(NK細胞)が発生したがん細胞を除去するようになっています。
ところが、1日3食しっかり食べ過ぎていたり、質の悪いものを体内にがっつり取り込んでいると、上記のような人体に備わっているがんの防御システムが働きにくくなります。
また、内臓脂肪には血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の効き目を低下させる働きがあり、体がさらにインスリンを補おうとして過剰分泌すると体内のインスリン濃度が高くなります。この状態が続くと「アポトーシス」が起きにくくなります。
さらに、内臓脂肪が増えすぎると、がん細胞の増殖を促進させる悪玉ホルモン「インターロイキン6(IL-6)」も分泌されます。
ちなみに、日本癌学会の発表では「22種類のうち17種類のがんは肥満するほど増える」とされ、特に大腸がん、肝臓がん、胆のうがん、すい臓がん、子宮がん、腎臓がんは肥満の影響を受けやすいと報告されています。
ですから、1日16時間ほど食べない時間を作る「8時間食事法」で、細胞をリフレッシュし、免疫力の低下と細胞の質の劣化を防ぐことができるのです。
しっかりオートファジーを働かせて病気の予防や老化を防いで行くのでしたら、1日ファスティングや3日から1週間のファスティングがお勧めです。
青木医師は、自身の舌癌の術後半年過ぎから「8時間食事法」を実勢し、朝食は摂らず昼食を13時半頃、夕食は20時頃摂り、日曜日は24時間の「空腹時間」を実践しています。
そして、筋肉量を維持するための自重運動(腕立て伏せ、腹筋、背筋)と、免疫力アップにつながる乾布摩擦、お風呂の最後に冷水を浴びることなども日課にしています。
細胞をリフレッシュさせ、がんの予防や再発防止のために、簡単な運動も取り入れて「8時間食事法」をやってみて下さい。ただし、がんの治療中の方は、空腹が逆効果になる場合もあるので、専門家の指示に従って下さいね。
(参)がんを克服した医師が教えるあきらめない生き方、食べない人は病気にならない