デザイナーフーズ計画は、1990年代に米国国立がん研究所(NCI)で「果物、野菜などに含まれるがん予防に有効な天然の化学物質で強化された食品を作る」ことを目的として2000万ドルの予算規模で発足されたプロジェクトです。実はこの前、1970年代後半に、上院議員だったマクガバン氏が連邦政府及び議会に提出した一連のレポートを総称したもので、その中で「食習慣を変えない限り、肥満人口が増え、多くの国民ががんになる。その結果、国民医療費の増大により国家は破産する」と警告されていました。
その中に、果物や野菜を積極的に食べることが必要であると報告されていて、それを受けての計画になるのです。
計画では、過去10年間の疫学調査の中でがんの予防効果を示唆する研究報告がある約40種類の食品を集約したもので、より有効だと認められるものから順に上からピラミッド型に配置しました。
この上位の野菜は、ニンニク、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、人参などで一般になじみの深い食品がほとんどです。
これらの食品には、がんを抑える驚くべき働きが次から次へと報告されました。
例としてニンニクを上げれば、この中に生じる抗がん成分は複数存在しています。特にジアリルトリスルフィド(DATS)は、すりつぶしたり短時間加熱処理により生じる成分で、次のような報告があります。
動物レベルで、移植した低分化型前立腺がんを濃度依存的に増殖を抑制した。皮膚がん細胞の細胞周期を停止させ、アポトーシスを誘導する。肝臓の代謝酵素の活性を調整して、発がんの抑制をサポートする、などです。
その他、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、人参なども複数の作用機序によりがんの抑制が報告されています。
これだけ熱心に野菜のがん抑制効果の研究がなされるのは、がんの発病や死亡率の増加に歯止めをかけたいと真剣に考えていたからです。
同時に、1988年、数千ページにも及ぶ「がんの病因学」という報告書で「抗がん剤は増がん剤である」と発表されていました。また、1990年には「自然療法の方が通常の抗がん剤、放射線治療、手術よりも治癒効果が高い」と報告され、さらに「患者には代替療法を含めて効果的な医療を受ける権利があり、医師は効果的な治療法を提示する義務がある」(アクセル法)とされました。
これらにより、アメリカでは野菜の摂取量は増加して、がんの死亡率は低下し続けたのです。
一方、日本では真逆で、野菜の摂取量も低下していて、先進諸国の中では日本だけががんの死亡率が増加しているのです。
まず野菜をしっかり摂り、生活習慣の改善指導を優先にしましょう。