今回、歯学博士の石川佳和氏の「歯周病ががんの原因だった」という内容を要約してお伝えします。
実は、私たちの体を構成する細胞の数は10%で、残りの90%は細菌で出来ています。その内、口腔内には約6000億個の細菌が定着していて、口内フローラを構成しています。ところが、食生活や生活習慣でそのバランスが崩れると歯周病菌が増殖して行き、歯周病を作ります。その歯周病は、歯と歯肉の間にデンタルプラークを作り、その細菌が歯肉の粘膜を破り、中に入り込み悪さをするものです。
初期の歯肉炎であれば、適切な歯石除去などのケアで治ります。
しかし、長期的になると、歯周病菌と免疫細胞との闘いによる炎症により、歯肉が腫れて痛み出し、やがては血や膿みが出て、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かして行きます。
その過程で、歯周病菌が血管壁の隙間から血液中に入り込み、全身の組織・臓器に悪影響を与えて行きます。これを「菌血症」と言い、歯周病菌が、動脈硬化を始めとする全身病やがんのリスクを上げるメカニズムが沢山解明されて来ました。
もう一つは、口内で暴れた歯周病菌が、唾液を飲み込んだり、食事のたびに現代人に多い胃酸分泌の悪い胃を通過して直接腸に達してしまうケースです。
本来、胃が健全であれば、歯周病菌や食事に付着している雑菌は強力な胃酸で殺菌されてしまうものです。しかし、現代ではよく噛まない食事や不摂生、安易な胃酸抑制剤の継続服用により、消化力が低下してしまっています。それにより、胃を容易に通過した歯周病菌が腸内で炎症を起こし、免疫を低下させるとともに、腸の血管から全身にばらまかれて悪さをして行きます。
ちなみに、歯周病になると以下のリスクが増加します。
・がんのリスクは24%アップ
・大腸がんのリスクは1.45倍に
・食道がんは43%アップ、胃がんは52%アップ
・膵臓がんは1.6倍に
・糖尿病のリスクは2倍に
・脳梗塞や心臓病のリスクは3倍に
・早産や低体重児出産のリスクは7倍に
・アルツハイマー型認知症の確率も高くなります
そうならないように、歯周病の根本処置が必要なのです。
そのための主軸は食事療法です。小麦・乳製品・白砂糖・遺伝子組み換え食品・タンパク加水分解物等の食品添加物をやめることです。これらは、炎症を引き起こしたり、リーキーガッド(腸漏れ)を起こして免疫力を低下させて菌血症を引き起こします。
口腸相関と言って、口は腸の鏡で全身を映し出す鏡でもあります。
食事を気をつけて、口腔内の衛生に気をつけて行きましょう。
(参)歯周病ががんの原因だった