「食べ物の正しい組み合わせ」の重要性は、過去80年にわたる熱心な研究の結果として証明されたものです。このテーマについて研究を始めた最初の人たちの一人に、条件反射で有名なイワン・パブロフがいますが、非常に多くの研究を行っています。
1902年、彼は「消化腺の仕事」という題の本を出版し、その中で「食べ物の正しい組み合わせ」についての根本的な原理を明らかにしています。
「食べ物の正しい組み合わせ」の原則を破ると、体に支障を起こしてしまうのです。
「補給のサイクル」が妨げられると、それに続く「同化のサイクル」「排泄のサイクル」も妨げられるのです。原則をきちんと守ることほど、「補給のサイクル」を効率良く機能させるものはないのです。
我々は、いかなる行動であっても、何かをするときにはエネルギーを必要とします。もし体にエネルギーがなかったら、それは私たちが生きていないことを意味しています。
誰もがもっと多くのエネルギーを欲しいと思っているのですが、実際に人間の体にとって最も多量のエネルギーを必要とする行為が何かを知っている人は少ないのです。それは、「食べ物を消化する」ことなのです。
食べ物を消化するのに要するエネルギーとは、自転車漕ぎ、ランニング、あるいは水泳以上であり、一般的な食事をしている人は、フルマラソンをするのに要求されるカロリー(約1600kcal)以上とも言われています。
さて、我々の体は二つ以上の凝縮食品(果物、野菜以外の食品)を、胃の中で同時に消化するようには作られていません。
しかし、現代の我々は、さまざまな種類の食べ物を同時に食べています。これでは、消化器官に非常に大きな負担を与え、組織の中に有毒な老廃物を作り出し、莫大な量の貴重なエネルギーが無駄に使われているのです。
ここで、「肉とジャガイモの組み合わせ」を考えて見ましょう。
タンパク質と炭水化物の組み合わせになるので、ご飯と魚、麺類と鶏肉、パンとチーズでも同様です。
まず、ジャガイモを分解するのに必要な消化液は、酸性ではなくアルカリ性です。一方、肉を分解するのに必要な消化液は、胃酸、酸性です。酸とアルカリが互いに接触すると、互いに中和されてしまいます。
この肉とジャガイモだけの組み合わせでも、体は混乱してしまい、消化に長い時間がかかることになります。現代の私たちの体は、この繰り返しで、消化不良や胸やけを経験し始めることになります。
胃腸に長い間留められると、タンパク質は腐敗し、炭水化物は発酵してしまいます。
人間の体は、どんな条件でも腐敗したものを使うことは出来ません。このような影響を受けた栄養素は、もはや健康な細胞を作るために利用出来ません。それどころか、腐敗した食べ物からは有毒な酸を発生します。腐敗のために、おならが続けて出たり、お腹が張ったり、胸やけがひどくなったりといった症状や胃酸過多による胃弱などが起こり、胃腸薬の出番となるのです。
また、体が同時に受け入れられない組み合わせで食べ物を摂取すると、発酵が生じ、その結果、消化器官内でアルコールが製造されることが分かっています。それはまさに、飲酒によって引き起こされた状況と同じ結果になり、アルコール同様に肝臓を傷つける可能性があるのです。
「食べ物の正しい組み合わせ」の原則が教えていることは、ただ一つ「エネルギーを浪費しないほうがいい」ということです。
食べ物が胃の中で8時間もの間、腐ったままでじっと動かず、それから20時間以上も腸の中を汚すことは誰も望んでいません。私たちの理想は、胃の中へ入った食べ物が、そこに3時間留まったあと、速く、しかも効率よく腸を通過することです。
以下に要点を列挙します。
・一度に二つ以上の凝縮食品を食べないことです。
・食べるときには、それがその食事で食べる唯一の凝縮食品にしておくことです。タンパク質は一つひとつが異なった性質で、非常に複雑な構造をしているため、同時に二つ以上のタンパク質食品の消化に必要となる調整が行えません。具体的には、肉と魚、肉と卵などでも二つの異なったタンパク質を同時に食べるべきではないということです。
・加熱調理していない生の食べ物は、その食べ物が消化されるのに必要な消化酵素を併せ持っており、炭水化物、タンパク質、脂肪の種類に関係なく、胃の上部でそのすべての予備消化が行われます。
・加熱調理された食品では、自ら消化するのに役立つ食物酵素が完全に破壊されてしまい、消化が困難になります。
・加熱調理したタンパク質や炭水化物は一緒に食べ合わせずに、それぞれ豊富な緑のサラダと同時に取れば、腐敗や発酵という事態はさけることが出来ます。
さて、「食べ物の正しい組み合わせ」の優れた点は、エネルギーレベルを著しく改善し、同時に、体を重くしている有害な老廃物を体内から取り除くのに、体が必要とするエネルギーをすべて自由に使えるようにしてくれることです。そうすると、余分な体重を減らしていくうえで、この原則がなんとすばらしい考え方であるかということが、実感できるでしょう。
(参)フィット・フォー・ライフ