休息の不足、過剰なストレス、忙しい生活、アンバランスな食習慣などの生活が何年も積み重なると、腸内環境も悪くなり、栄養素不足や免疫力の低下を引き起こします。
さらに、さまざまな炎症を放置したままにすると、副腎はストレスに対抗せねばならないうえに、炎症も抑えなければなりません。その結果、24時間365日、コルチゾールを放出し続け、疲れ果てて「副腎疲労」になります。
「副腎疲労」はストレス社会特有の症状です。つらい症状があるにもかかわらず、病院で検査を受けても「異常なし」と診断されることが非常に多いのが副腎疲労です。「気のせいですよ」「休んでいればそのうち治ります」と、単なるストレスとして片づけられるケースがよくあります。場合によっては精神科、心療内科を紹介されてしまうこともあります。
さて、副腎は、腎臓の上についている三角形のような形をしている5g程の小さな臓器です。
その副腎は、外側の副腎皮質と内側の副腎髄質の二つの構造に分かれていて、コルチゾールは副腎皮質から分泌されます。
ちなみに、コルチゾールの主な働きには、炎症を抑える働きと乳酸やアミノ酸からエネルギーのもとのグルコースを作る糖新生があります。
副腎はとても頑丈な臓器です。副腎に負荷がかかり始めてから明らかな副腎疲労の症状が出てくるまでには数年を要します。体力があるうちは、働き過ぎたとしても1~2日ほどしっかり眠れば疲れはとれます。しかし、慢性疲労の症状が出てくると、いくら寝ても疲れがとれません。数カ月、数年単位で疲労が蓄積していきます。
その副腎疲労は、以下の3段階で考えることができます。
【第1段階】副腎疲労の初期
ストレスに対処しようと常にコルチゾールが出続けます。肉体的にも精神的にもハイになり、仕事が充実しているように感じます。
【第2段階】
疲れが出て、風邪を引きやすくなったり、アレルギーが出やすくなったりします。肩こり、腰痛、背痛を感じ始めます。
【第3段階】
最後は疲れ果てて、動けなくなります。
以上のような過程で、肉体にも心にも症状があらわれます。
具体的には、次のような症状があります。
・朝は、なかなか起きられなくなります。
・仕事ではスタミナがなくなります。当たり前のルーティンワークがおっくうになったり、新しい仕事が覚えにくくなったりします。
・仕事のミスが多くなります。
・休日も疲れて動けず、家でダラダラと寝ているだけの状態になります。
・性欲が落ちます。
・これまで好きだったことさえ興味がなくなります。
・嗜好が変わることがあります。甘いものを欲しがる傾向が出てくることもあります。
・カフェインを欲し、コーヒーがやめられなくなることがあります。
・アレルギー症状や、めまいやふらつきなどの自律神経失調症の症状が出ることがあります。
・勝手に涙が出てきたり、わけもなく不安感や焦燥感にかられたり、原因不明の恐怖感が出てきたりすることもあります。
・気持ちが落ち込んだり、逆に怒りっぽくなったりします。
このような症状に心当たりがあれば、逆に副腎疲労を疑って適切な対処を取っていきましょう。
次回は、その対処法をご紹介していきます。
(参)疲れがとれない原因は副腎が9割