今回は、環境危機や水源危機等の根本的な問題が、現代の我々の社会構造にあり、それを政治問題だと世界中に訴えながら、自信も行動で示し続けている大統領「ホセ・ムヒカ」氏の真摯な言葉をご紹介します。
ホセ・ムヒカ氏は、ウルグアイ東方共和国の第40代大統領であり、2012年6月ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで行われた国連の「持続可能な開発会議(リオ会議)」で衝撃的なスピーチを行いました。
その中には、日本人が文化的・社会的に親近感を持てる言葉が多く含まれているのでしょう。多くの失敗や挫折から大統領になりながら、およそ一国のリーダーらしからぬ生き様を貫いているホセ・ムヒカ氏に多くの人々が共感しているのです。
ホセ・ムヒカ氏が大統領として活躍した時期は、2010年3月から2015年3月まで。この間、大統領官邸に住むことを拒み、首都郊外の自宅である小さな農場で暮らしています。
その住まいは、小さな平屋で部屋は3つだけ。水道は通っておらず、雑草の生い茂った井戸から水を引いています。ホコリまみれのガレージには、1987年製のフォルクスワーゲンがあり、移動に大統領専用車を使わずに、自らハンドルを握ります。家族は妻と何匹かの愛犬。中でも有名なのは、事故で足を失い、足が3本しかないメスの雑種犬マヌエラです。
大統領就任中の給料は、日本円換算でおよそ130万円。そのうち約80%を寄付し、残りは将来、自分の農園に貧しい子供たちを受け入れる農業学校をつくるために貯金に当てています。個人資産は、2010年の確定申告の際には、愛車分のわずか1800ドル(約22万円)。
質素なライフスタイルと決して多いとは言えない資産・・・それが世間に知れ渡り、いつしか、“世界でもっとも貧しい大統領”と呼ばれるようになったのです。
しかし、ホセ・ムヒカ氏は、事あるごとに「私は自分が貧乏だとは思っていない」と語っています。その言葉の裏には、私たちの心に響く、彼の人生哲学が隠されているのです。
以下、ホセ・ムヒカ氏の言葉です。
・「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
・「私は貧乏ではない。質素なだけです」
・「貧乏とは、欲が多すぎて満足できない人のことです」
・「質素は“自由のための闘い”です」
・「物であふれることが自由なのではなく、時間であふれることこそ自由なのです」
・「人間のもっとも大事なものが“生きる時間”だとしたら、この消費主義社会は、そのもっとも大事なものを奪っているのですよ」
・「物を持つことで人生を複雑にするより、私には、好きなことができる自由な時間のほうが大切です」
・「あなた自身が幸せになってください。そうすれば世界は変わるでしょう」
・「唯一夢中になるのは愛です。他のすべてのものは災いです」
・「信念があれば、人間は強い動物です」
・「大切なのは助け合うこと。それが創造力になるのです」
・「歩くこと、歩き続けることが人生でもっとも大切なのです」
・「もっとも大きな貧困は孤独です」
・「人生をひとりで歩まないでください。人には、必ず人が必要なのです」
・「人はもらうことではなく、あげること」
(参)ホセ・ムヒカの言葉、日めくりホセ・ムヒカ