ミトコンドリアは全身の細胞内にあって、エネルギー通貨のATPを産生する働きがあります。ミトコンドリアはプラズマ療法を行う私たちにはなじみの細胞内器官ですが、そのミトコンドリアの働きが低下して、細胞の活動が低下して起こる病気の総称が「ミトコンドリア病」です。
例えば、脳神経細胞であれば、見たり、聞いたり、思考したりすることが障害されます。心臓の細胞なら、血液の循環に、筋肉の細胞なら、運動機能に障害が現れます。
多くは生まれながらにしてミトコンドリアの働きを低下させるような遺伝子の変化を持っている方が発症します。また、薬の副作用などで二次的にミトコンドリアの働きが低下して起きるミトコンドリア病もあります。
ミトコンドリアの働きには1000を超えるタンパク質が関与しているので、それらのタンパク質の遺伝子の変化がすべてミトコンドリア病の原因となる可能性があります。
私たちの細胞内のエネルギーの90%ほどがミトコンドリア由来です。これを臓器別にみると、5大エネルギー消費臓器は、心臓、脳、筋肉、目、腺組織です。
ですから、これらのエネルギー消費の大きい臓器や組織の症状が出やすいことになります。
ちなみに、各組織の主な症状を以下にご紹介します。
中枢神経:脳卒中症状、痙攣、失調、片頭痛、知能低下、精神症状、ジストニア
骨格筋 :筋力低下、易疲労性、ミオパチー、高クレアチンキナーゼ血症
心臓 :心筋症、WPW症候群、伝導障害
眼 :外眼筋麻痺、網膜色素変異、視神経障害
肝臓 :肝機能障害
腎臓 :糸球体病変、バーター症候群、ファンコニー症候群ミオグロビン尿
腸 :便秘、下痢
血液 :鉄芽球性貧血、汎血球減少
すい臓 :糖尿病、外分泌不全
皮膚 :発汗低下、多毛
内分泌腺:低身長、低カルシウム血症
治療法は、各臓器の症状に対して、その専門医による対症療法になります。また、ミトコンドリア自体の働きを回復させる原因療法は模索中で、休養をしっかりとり栄養素やビタミンの補充が基本になっています。
ミトコンドリア病は、公費対象になっていて、成人は指定難病の、18歳未満の場合は小児慢性性特定疾患治療研究事業の対象疾患になっています。(保健所へ問い合わせ)
ちなみに、ミトコンドリアがエネルギーを作り出す働きは甲状腺により調節されています。ですから、全身の機能障害を引き起こす甲状腺機能低下症の症状はミトコンドリア病に似ています。以下の甲状腺機能低下患者の症状を参考に見て下さい。
痛み(96%)、皮膚乾燥(85%)、倦怠感(83%)、爪がもろい(81%)、月経不順(69%)、うつ症状(57%)、粘液水腫(54%)、寒がり(53%)、不眠(53%)、腱反射低下(49%)、子宮摘出後(41%)、アレルギー(41%)、四肢冷感(38%)、体重増加(38%)、便秘(32%)、高血圧(31%)、不安(29%)、頭痛(28%)、・・・心臓病(17%)、糖尿病(15%)
さまざまな症状がありますが、現在の血液検査では甲状腺ホルモンの受容体機能の低下から、さらにミトコンドリア機能異常をとらえきれていないので非常に見逃されがちです。
しかし、プラズマ療法はミトコンドリアの働きを高めるので、このような症状にもプラスになることが分りますね。ぜひ、積極的にチャレンジしてみましょう。
(参)臨床分子栄養医学研究会