筋肉をはじめ、体を作っているタンパク質摂取のためには、肉食が優れていると思われています。
そのタンパク源を考える指標として、必須アミノ酸の含有バランスを数値化した「アミノ酸スコア」を使いますが、比較すると肉と同等か、優れているのは「魚」です。さらに、健康面を考えてみると、お米と大豆を組み合わせも引けを取りません。大豆にタンパク質が多いですし、お米にもタンパク質は含まれています。
お米単独や大豆単独のアミノ酸スコアでは動物性食品を下回りますが、それぞれ足りない別々の必須アミノ酸をお互いがうまくカバーしあうので、一緒に食べれば良いのです。
さて、一般に大人が1日に摂取すべきタンパク質の量は「体重1kgあたり1g」、体重60kgの人なら60gが望ましいとされています。
一方で、体内で新たに作り出されるタンパク質の量は、1日230g以上といわれています。平均摂取量が60gなのに、合成量は230g。つまり、差し引き170gは、自分の体のタンパク質のリサイクルです。具体的には、消化酵素や腸壁から剥がれ落ちた細胞内などの「腸由来」(約70g)と、筋肉や血液、ホルモンなどを構成していた「体内由来」(約100g)です。
そして、タンパク質をがっつり摂ろうとするよりも、いかに正しく利用し、正しく作り出し、そして正しく機能させるかのほうが、はるかに重要です。
ここでタンパク源に肉を多く摂ることの“リスク”を挙げておきます。
- さまざまながんのリスクを高める
- 有害なアンモニアが生成される(腎臓などの負担増)
- 動物性脂肪(飽和脂肪酸)が多い(炎症体質を助長)
- カルシウムを体内で悪玉化させる(異所性骨化)
- 特に日本人は消化が得意ではない
- 腸内フローラの多様性を低下させ、悪玉菌を優位にする
- 農薬や抗生物質が含まれている恐れがある
- 過剰なリンが貧血やカルシウムの悪玉化を助長する
- 加熱調理に伴い種々の有害物質(AGEsなど)が発生しやすい
以上のように、筋肉のために肉をがっつりとると、炎症体質を助長し、病気やケガがおおくなります。
優秀なアスリートはこのようなことを理解していて、筋肉のためのタンパク源を植物性食品に中心をおいています。記録を更新し続けて、優れたパフォーマンスを披露しているアスリートほどビーガン食を実践しているのです。
第69代横綱白鵬も、体作りに野菜をたっぷりとることを進めています。しかも、体が大きな方が圧倒的に有利な相撲界において、3日間の断食を行い、植物性主体の食事を続けて活躍を続けました。
細胞環境デザイン学の山田豊文先生はいまや「肉は嗜好品」と言い切っています。
そろそろ、タンパク源=「肉」の構図を見直して見ましょう。
(参)超人をつくるアスリート飯