前回のブログで、私たちに必要なリンが、実は危険なもので、私たちの老化を促進していることをお伝えしました。
現代の私たちの食生活では、必要量の数倍ものリンが過剰に摂取されています。
それにより、血管の石灰化(動脈硬化)、心肥大、骨粗しょう症、慢性腎臓病、肺気腫、成長障害、性腺・胸腺・皮膚の萎縮、筋肉量の減少(サルコペニア)、認知症、慢性炎症、寿命の短縮等の多岐にわたる疾患に見舞われていきます。
過剰なリンは、体内で「細胞毒」や「病原体」のように悪さをするのです。
ですから、いかにリンの摂取に気を付けていくかがとても重要になるのです。
今回は、老けやすさに差をつけている“リンの摂取”について気を付けていくポイントをお伝えします。
リンは、肉、魚介類、穀物、野菜、乳製品等、ほとんどの食品に含まれています。こうした「食品から入るリン」に匹敵するくらいの量を食品添加物からも摂取しています。加工食品、カップラーメン、スナック類、ファーストフード、お惣菜など、さまざまな形で私たちの体に入って来ています。
リンは味もにおいもなく、また添加物として見えない場合も多いのです。酸味料や着色料、ph調整剤など、非常に多くの食品添加物に含まれていますが、その食品の成分表示ラベルに「リン」と表示されていないことが少なくありません。このようにリンは、「味がない」「においもない」「見えない」というステルス性のため、ほとんどの人が日々知らず知らずのうちに大量のリンを摂り過ぎてしまうわけなのです。
では、このようなステルス攻撃にどう対処していけばいいかと言いますと、それは「敵を知る」ということです。どんな特徴を持っていて、どういった食品に多いのかを知っておく必要があります。
リンには「有機リン」と「無機リン」の2種類があります。
「有機リン」は、肉類、魚介類、卵、乳製品、野菜、穀物などに広く含まれているリンです。食品中の有機リンの含有量は、タンパク質含有量に比例することが多く、このため、肉、魚、乳製品に多い傾向があります。体内への吸収率は食品によって違いますが、20~60%です。
有機リンには「吸収されやすいタイプ」と「吸収されにくいタイプ」があり、一般的に、肉や乳製品などの動物由来の有機リンは吸収されやすく、野菜や大豆などに含まれる植物由来の有機リンは吸収されにくい傾向があります。
特に、「吸収されないリン食品」が「大豆」です。大豆の有機リンは「フィチン酸」という形で含まれていて、人間の腸からは吸収されません。食品成分表通りの栄養指導では、リン吸収率のデータは不足しているので、盲点になります。豆腐、納豆、油揚げ、豆乳などは「食べても良いリン」になり、腎臓が悪く高リン血症でリン制限があっても差し支えありません。むしろ、これらを控えることでタンパク質不足による栄養不良で、さらに予後が悪くなることが最近の臨床研究で指摘されています。
「無機リン」は、食品添加物として使用されているリンです。ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、スナック菓子、インスタント食品、ファーストフードなど、ほとんどの加工食品に含まれています。体内への吸収率は90%以上で、ほとんど吸収されると思ったほうが良いです。日本の食は「添加物まみれ」で「リンまみれ」なのです。
添加物には、かんすい、酸味料、香料、乳化剤、ph調整剤、強化剤、結着剤などと「一括名表示」により、リンが含まれているのか見分けがつけなくされています。また、スーパーなどのお惣菜やお弁当など「店内で製造・加工した食品」にはその成分を表示しなくていいことにされているので、近づかない方が良いでしょう。
リンは老化促進物質です。これからは、この見えない敵にも気をつけて行きましょう。
(参)腎臓が寿命を決める