私たちのエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)にもリンが3つくっついていて重要な働きを占めていますが、そのリンは実は、寿命を決めている物質だということが分かっています。
どういうことなのかと言いますと、血液中のリンの濃度が低い動物ほど寿命が長いということです。身近な動物を血液中のリン濃度を多い順で並べてみると、ネズミ3年、ウサギ10年、ヒツジ20年、ゾウ70年、ヒト・・・というわけです。体内にリンを貯めがちな動物ほど寿命が短く、リンの排出の調整能力が高い動物ほど寿命が長くなっているのです。
そして、私たち人間において、リンは人体に欠かすことの出来ない物質ですが、摂り過ぎると腎臓の機能を低下させたり血管トラブルや慢性炎症を引き起こしたりするようになり、老化を加速させる大きな原因になっているのです。
リンは主に(約80%)カルシウムと結合して「リン酸カルシウム」を作り、骨の主成分になっています。また、リンは遺伝子であるDNAや細胞膜の主成分でもあります。
ところが、リンを摂り過ぎると骨以外でリン酸カルシウムがタンパク質と結合してコロイド粒子の形で血液中を移動して血管や組織の細胞に運ばれて析出して石灰化を引き起こして行きます。血管では動脈硬化になり、組織でも石灰化により機能低下を引き起こして、様々な不調や病気を発生するようになります。
特に、高濃度のリンは細胞毒として腎機能を低下させて行きます。
腎臓は、単に尿を作っているのではなく、体内の血液や体液の成分バランスを調整したり、血圧を調整したり、ビタミンDを活性化させたり、造血ホルモンを分泌したりと各臓器とのネットワークの重要なポジションとして働いているのです。
ちなみに、腎臓において体内に不必要なものをろ過する最小単位のネフロン(糸球体とボウマン嚢からなる)は左右の腎臓に個人差はありますが、約100万個以上あり、実際に機能しているのはその10%程度と言われていますが、60代、70代になるとネフロン数が20代の頃の半分程度に減ってしまうのです。そして、このネフロンが消耗されて数パーセントくらいにまで減ると慢性腎臓病から腎不全の危険が高まってくるのです。そして、ネフロンがゼロになりろ過出来なくなると(おしっこが出なくなると)、尿毒症で死んでしまいますから腎移植か人工透析になるのです。
事実、現在では人工透析患者数は30万人を超えていて、毎年1万人のペースで増え続けています。毎週3回人工的に血液をろ過して延命しているのです。
このように血中にリンが増加して腎機能を低下させて行くと、血管の石灰化や慢性炎症などのトラブルで同時多発的に不調や疾患が発生するようになります。動脈硬化、成長障害、心肥大、骨粗しょう症、皮膚の萎縮、老人肺、サルコペニア(筋肉量の減少)、感音性難聴、認知症などとなり、寿命の短縮になるのです。
ですから、普段からリン添加物の多いファーストフード、インスタント食品、スナック菓子などの加工食品をひかえるようにして行きましょう。
リン添加物は“老化加速物質”なのです。
(参)腎臓が寿命を決める