人間に必要な3大栄養素の一つである油ですが、理想的な油の摂取量は全体の20~25%と言われています。その油も摂取する質を考慮することが大切です。
その油の主成分は脂肪酸で、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸になります。不飽和脂肪酸は植物性脂肪(植物油)に多く含まれ、飽和脂肪酸は動物性脂肪(肉類、乳製品)に多く含まれています。このうち不飽和脂肪酸は、体内で作ることが出来ない必須脂肪酸を多く含んでいるため、食事として外部から摂取しなければなりません。不飽和脂肪酸は、人間の体を作る細胞膜を構成している成分でもあります。
日本人の食生活が欧米化した結果、油の摂取量が次第に増加し、しかもその油は動物性脂肪に偏る傾向が強まっています。
そして、油には食用油やバター、ラードなどのいわゆる「見える油」ばかりでなく、「見えない油」もあることに注意を払う必要があります。
「見えない油」とは、肉類や穀類、魚類、乳製品、加工品などの食品に含まれている油のことです。油の摂り過ぎには、この「見えない油」の摂り方に十分気をつける必要があります。
現代の日本人は「見える油」1に対して「見えない油」を3.7摂っていると言われています。例えば、乳製品からは1日平均4.7グラム、卵からは3.4グラムの油を摂っています。
そして、特に注意すべきなのが加工食品に含まれている油です。例えば、餃子には具だけでなく皮にも油が塗られていることが多いのです。餃子に限らず、加工食品は製造するまでの過程で、味だけでなく形を整え、見た目を美しくするために、同じ料理を手作りするのに比べて多めの油を使っています。大量生産されているサンドイッチならば、パンの内側だけでなく、中の具を接着させるためにマーガリンなどの油を使っていることがあります。日常的に用いるカレーやシチューのルーにも、植物油という名で多く使われています。さらに、クッキーやケーキ、チョコレートなどの菓子類にもかなりの量の油が使われています。インスタントラーメンでは、100グラムの中に20グラムの油が含まれているものもあります。
また、ファストフード食では油で揚げたものが多くあり、揚げるということは、180度前後の高温にすることであり、酸化され変質された有害な過酸化脂質を多く含んでいることになります。そして、若者が好むフライドチキンやフライドポテトには「ショートニング」が使われていて、トランス脂肪酸の問題もあります。このトランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすばかりか、さまざまな生活習慣病やがんのリスクを高めることも指摘されています。ファストフード食は、食物繊維も少ない点でも腸に良いとは言えず、アメリカで大腸がんの患者数が非常に多い原因のひとつに、このファストフードを好む傾向にあると言われています。そして、日本でも大腸がんも増加しています。
繰り返しますが、これらの加工食品に含まれる油は総じて炎症を引き起こす類の油です。そして、食べるプラスチックを言われているトランス脂肪酸を大いに含んでいます。世界では禁止、もしくは制限されている問題のある脂肪酸です。これらが「見えない油」として密かに私たちの健康を蝕んでいるのです。
安易に加工食品に頼るのはひかえて行きましょう。
(参)寿命の9割は腸で決まる