体力をつけたい、筋肉を増やしたいと肉食に走るのは、当たり前のように思いますね。
それは、肉は優秀なタンパク源だと考えられるからです。
ところが、現代の過剰な肉食による弊害も知っておく必要があります。
まず、「肉を食べるとパワーが出る」ことに関して、面白いエピソードがあります。
それは、江戸時代の終わりごろに、日本にやって来た外国人が、およそ110kmの距離を14時間半で走破した人力車夫に驚嘆しました。普段何を食べているのか聞いたところ、玄米とジャガイモ、味噌汁など質素な食事をしているとのこと。肉を食べればさらにパワーアップするのではと、車夫に肉を食べさせたところ、たった3日目で「疲れて力が入らないから、元の食事に戻してくれ」と懇願して来たというエピソードです。
むしろ、肉食はパワーを奪うのです。
また、「元気な高齢者ほど肉好き」というのは、野菜をしっかり摂った植物性主体の健康的な食生活を送ってきたからこそ長生きで、元気だからこそ肉も楽しめているのです。
現代人のように、野菜をあまりとらずに、ジャンクな食べ物中心で肉を多くとることは、がんを始め、多くの生活習慣病を増やしています。
さらに、現代の畜産による肉には、成長ホルモンや抗生物質の残留が問題です。放牧してたっぷり草を食べさせたグラスフェッドの肉と、工業生産物のように効率化されて作られた畜産の肉とは大違いです。このような肉の多食では、性ホルモンの代謝異常を引き起こし、ひいては性ホルモンが影響するがんの増加を招いています。
現在、オリンピックのアスリートの中には、完全に肉をとらないビーガンのアスリートがいますが、彼ら彼女らの方が怪我が少なく選手寿命が長いです。肉食は炎症体質にし、植物性の食物は炎症を起こしにくい体質にします。
炎症を抑えると病気にならないのです。
引退した力士の白鵬は、現役時代ファスティングをして怪我を克服して優勝復活を遂げましたが、彼が毎年開催している“白鵬杯”では、「相撲に強くなりたければ、野菜をしっかり食べなさい」と子供たちにおっしゃっていました。
実は、肉は消化器官や肝臓、腎臓など、あらゆる臓器に負担をかけて病気を招きます。老けないためには、肉の摂取は極力避けるべき食材です。肉からしか得られない必須栄養素はありません。肉料理では、揚げる、焼く、炒めるなどの高温調理を行うことが多く、その過程で、発がんや酸化、糖化を促進する物質がたくさん発生します。ですから、ステーキ、焼き肉、とんかつ、焼き鳥、唐揚げ、フライドチキン、バーベキューなどのメニューは非常に高リスクになるのです。「やっぱりス〇ーキ、やっぱりがん」です。
逆に、植物性食品は、肉類に伴う様々な問題を、いずれも最小限に抑えることができます。
肉食はあくまで嗜好品として、「タンパク源は肉から」という肉食信仰から抜け出して行きましょう。
(参)老化が止まる食事術