医療費の上昇もあり、国では無駄な服用薬を減らしていくよう指導がされています。
その中で、真っ先に止めても良い薬の一つにコレステロールを下げる薬があります。
NPO医薬ビジランスセンター代表、内科医の浜六郎先生は、薬を飲まないなら「では、どうすればよいか?」という質問への答えは「コレステロールに関しては、低下剤を飲まなくても全く何の心配もない」と述べておられます。さらに「コレステロールが高いからと低下剤を処方されて飲んでいる人は、いつ止めても何の不都合もありません。早ければ早いほどよい。すぐにやめることをお勧めします。」と述べておられます。
というのも、コレステロール低下剤でコレステロールを下げると害が大きいのです。有名な、筋肉が溶けて強い痛みを起こす横紋筋融解症を始め、神経障害もあります。
そして、コレステロール値は高い人の方が低い人よりも長生きであり、下げる必要は全くないのです。特に60歳以降の人では、例外なく「悪玉」と称されているLDLコレステロールが高い人の方が長生きであることが判明されてきました。
さて、コレステロールは必須であり、大きく3つの理由があります。
まず、生命活動の根本である生体膜の重要な成分であることです。
コレステロールが不足すると、細胞膜の流動性が失われ、細胞機能が失われ、神経機能が悪くなったり、血管、組織がもろくなります。すると、脳出血が起こりやすくなったり、免疫力が低下したり、がん、神経障害やうつ病、自殺などの増加につながります。
次に、コレステロールは、私たちが体内で生み出す大事な5種類のホルモンの原料として大切なものです。5種類の重要なホルモンとは、副腎で作られる抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモン、体内の塩分を調節している電解質ホルモン、男性ホルモン、2種類の女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンです。
コレステロールが大切な最後の理由は、胆汁酸の原料になることです。
胆汁そのものには消化酵素は含まれていないのですが、胆汁酸は消化に欠かせない消化液の成分であり、不足により栄養不足、エネルギー不足に陥りやすくなります。さらに、胆汁酸はコレステロールが結晶化するのを防いでいるので、胆汁酸が不足すると胆石ができやすくなるのです。
このようにコレステロールは私たちの体になくてはならない必須の物質です。
体内のコレステロールの7割以上は私たち自身の体内(主に肝臓)で生産され、食べ物から摂取するコレステロールは3割弱です。
ですから、コレステロールが高いことを怖れて、コレステロールの少ない食品を摂ると、体内の脂肪やブドウ糖などの材料からコレステロールを作って補います。
以前、卵はコレステロールが多いからひかえるように言われていましたが、これも科学的な根拠がないことが分り、食事のコレステロールは影響しないことが分っています。
極端な食事は別として、過度にコレステロールを気にしないで下さい。
そして、単に数値が高いからとコレステロールを下げる薬を飲み続けるのはやめましょう。
(参)「薬のやめ方」事典、薬の9割はやめられる