2007年、日米でそれぞれ最も信頼の厚い2つの機関の統計データが以下のような似た内容の論文を発表しました。
米国立衛生研究所(NIH)のアメリカ糖尿病学会では「難聴は加齢で起こるのではない。他の要因がある・・・糖尿病患者は2倍も難聴になりやすい」と発表しました。
また、日本の国立長寿医療センターでも「難聴は年齢にはあまり関係がなく、動脈硬化と騒音によって起こる」と発表がなされました。
約40種類のさまざまな難聴の原因について、統計的にどれが一番関係がありそうかということを調べ上げ、やはり「年齢」という時間軸と難聴にはあまり関係がないことがわかってきたのです。そして、一番関係があるのが「動脈硬化」と「騒音」だったのです。
現在、難聴は2000万人以上いると思われていますが、医療機関を受診するのはその内の7%ほどと言われています。また、難聴や耳鳴りを放っておくと、脳への影響が出て来て、聴神経の感覚が低下することでうつの症状が出たり、認知症につながったりすると報告されています。
動脈硬化は、血管が傷んでいるとも言えます。血管の酸化、糖化です。頸動脈内膜中膜肥厚や、動脈硬化がさらに進んでプラーク形成が診断材料になります。
難聴自体は薬で治せるものではありませんが、その原因が血管の酸化、糖化にあるので、抗酸化な食事、野菜・果物をしっかりとることが大切になります。また、1日60分を目安にウォーキングをすることを提案されています。ただし、即効性を求めるのではなく、1~3年くらい続けることが大切でしょう。
騒音は工場などで大きな音を聞きながら毎日を過ごす人などに多く、「騒音職場」と言って、数値にすると85デシベル以上の騒音になります。
また、身近なところでもこの騒音が問題になっています。例えば地下鉄で、75デシベル以上になることはざらです。
他では、ヘッドホンで大音量の音楽を聴くのも耳のストレスになります。
85デシベルの騒音を毎日8時間聞いて5年も経てば、騒音性難聴になってしまいます。その音が130デシベル以上だったら、30分足らずで耳は壊れてしまいます。
多くの情報に囲まれた現在ですが、少しでも静寂な環境にひたる時間を持つように努めて行きましょう。そういう意味では、瞑想はとても有用ですね。
難聴は「治す病気ではなく、対処していく病気です。」
まずは、以上の方法で予防することですが、かなり進行している方では、聞こえないまま放っておくことで生じるリスク(学習障害やうつ、認知症など)を回避するために、積極的に補聴器を活用することです。その場合は、専門の補聴器相談医にて診察を受けることで、補聴器の医療費控除が申請できるようになります。
そして、高価になりますが、出来る限り両耳装用をしましょう。
(参)「耳の不調」が脳までダメにする