栄養療法であるオーソモレキュラー療法の創始者の一人であるエブラム・ホッファー医師は、がん患者さんへの栄養療法で驚くほど平均生存期間を延ばしました。その処方は、βカロチン、ビタミンB群、ビタミンC、E、セレン、亜鉛でした。
今回は、日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニックを開設した溝口徹医師の「がんになったら肉を食べなさい」から、がんに負けないための栄養素をご紹介させて頂きます。
- しっかりしたカロリー
脂質やタンパク質の機能は、カロリーが十分に存在しているということが前提条件になります。カロリー不足では、大切なタンパク質や脂質がカロリー源として燃やされて消費されてしまい、炎症を抑えたり酸素を運んだりする大切な機能が果たせなくなります。
- プロテイン(タンパク質)
治療で必要な量は、常に筋肉が細くならないということが目安になります。動物性タンパク質、卵、納豆に多いメチオニンが重要です。
1日の推奨摂取量 20g以上
- アミノ酸
がんが進行して消化吸収力が落ちるとタンパク質の吸収率が下がるため、プロテインの代わりにアミノ酸を用いることがあります。筋肉の減少を防ぎ、アルブミンを維持向上させる目的にはBCAAを選択します。また消化管機能低下や抗がん剤や放射線治療による重度のストレス環境下ではグルタミンを用います。グルタミンは、腸管粘膜とリンパ球の活動のエネルギー源です。
1日推奨摂取量 必須アミノ酸8g以上、BCAA6g以上、グルタミン9g以上
- ビタミンB群
がんはエネルギー消費が亢進している状態なので、大量のビタミンB群を消費します。
ビタミンB6は細胞増殖抑制作用があり大腸がんの発症を予防しているという報告があります。ビタミンB群はコンプレックスで服用すると脂質に対する抗酸化作用が効果的になります。
- ビタミンC
ビタミンCはがん患者さんの身体の中で献身的に素晴らしい作用を行い続けますが、すぐに消費され、血中濃度が下がってしまうという特徴があります。ビタミンCの働きを助け、血中濃度をできるだけ高く保つようにサポートしてくれるαリポ酸を同時に用いることは有効な方法です。
1日推奨摂取量 高濃度ビタミンC点滴をしていない場合10g以上
- ビタミンE・トコトリエノール
トコトリエノールはビタミンEの抗酸化作用をより強力に、しかもがんに対して直接作用を有するように変化させます。
- ビタミンD
ビタミンCと並んで主役に抜擢されるほどの栄養素です。ビタミンDが不足していると様々ながんの発症率が上がることが理解されてきました。しっかり日光を浴びながら散歩するのはお勧めです。
1日推奨摂取量 25-OH-D3として4000IU以上
以下は次回でご紹介します。
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- ヘム鉄
- 亜鉛
- βグルカン・フコイダン
- ラクトフェリン
- ビタミンA
(参)がんになったら肉を食べなさい